絶滅危惧種の動物一覧|世界と日本で今絶滅しそうな動物たち

Gemini Generated Image L5p7bql5p7bql5p7
※この記事には広告(PR)が含まれています。

絶滅危惧種の動物一覧|世界と日本で今絶滅しそうな動物たち

地球上の生物多様性は、かつてないスピードで脅威にさらされています。

開発、乱獲、気候変動などの人間活動により、多くの動物種が絶滅の危機に瀕しています。この現状を把握するために作成されたのが「レッドリスト」であり、世界および日本の絶滅危惧種の実態を知ることが、生物多様性保全の第一歩となります。


目次

レッドリストとは?

レッドリストは、絶滅のおそれのある野生生物の種をリスト化したものです。

  • 国際自然保護連合(IUCN)が作成する「The IUCN Red List of Threatened Species」が世界的に最も権威あるリスト
  • 日本でも環境省および各都道府県が独自のレッドリストを作成

レッドリストは単なる一覧表ではなく、種の保全状況を把握し、適切な保護対策を講じるための基礎資料として活用されています。

リストに掲載された種は、絶滅の危険度に応じて科学的基準に基づいてランク付けされており、主に以下の3つの要素が考慮されています:

  • 個体数の減少率:過去10年間または3世代でどれだけ個体数が減少したか
  • 生息地の面積:生存に必要な環境がどれだけ残されているか
  • 絶滅確率:現在の状況が続いた場合に予測される絶滅の可能性

レッドリストのカテゴリー体系

IUCNのレッドリストでは、野生生物を以下の9つのカテゴリーに分類しています:

カテゴリー説明具体的な例
絶滅 (EX)すでに絶滅したと考えられる種ニホンオオカミ、ドードー
野生絶滅 (EW)飼育・栽培下でのみ存続している種トキ(一時野生絶滅)、シフゾウ
深刻な危機 (CR)ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いものアムールトラ、ジャワサイ
危機 (EN)CRほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いものゴリラ、オランウータン
危急 (VU)絶滅の危険が増大している種ホッキョクグマ、アフリカゾウ
準絶滅危惧 (NT)現時点での絶滅危険度は小さいが、環境変化により「絶滅危惧」に移行する可能性のある種シロイルカ、ツキノワグマ
低懸念 (LC)現時点では絶滅のおそれは低いと考えられる種イヌ、ネコ、スズメ
データ不足 (DD)評価するだけの情報が不足している種オオサンショウウオ、ジュゴン
未評価 (NE)IUCNの基準に基づいて評価されていない種

これらのカテゴリーは科学的な評価に基づいており、例えば過去10年間または3世代で個体数が80%以上減少している種は、深刻な危機(CR)に分類されます。


Japanese Wolf Canis Lupus Hodophilax (aka Honshū wolf) by Philipp Franz von Siebold.
: ニホンオオカミの骨格標本と復元図
出典: Philipp Franz von Siebold, Public Domain

レッドリストの歴史的発展

IUCNによるレッドリスト作成の取り組みは1940年代に始まり、以下のように発展してきました:

  • 1964年:初のIUCN版レッドリストが作成され、絶滅危惧種保護の取り組みが本格化
  • 1994年:新システムを導入し、定量的な評価基準を採用
  • 2001年:現在のカテゴリー体系が確立
  • 2000年代以降:インターネットでの提供開始により、世界中で情報へのアクセスが容易に

世界の絶滅危惧動物一覧

現在、IUCNの評価対象種の約3分の1以上が絶滅危惧種に分類されています。特に深刻な状況にある動物には以下のようなものがあります:

Siberian Tige アムール虎
アムールトラ By Hollingsworth, John and Karen (U.S. Fish and Wildlife Service) – Public Domain,

哺乳類

アムールトラ

  • 生息地:ロシア極東・北朝鮮
  • 脅威:森林伐採と密猟により個体数が激減

ジャイアントパンダ

  • 生息地:中国四川省など
  • 脅威:竹林減少と生息地分断により危機的状況

マウンテンゴリラ

  • 生息地:中央アフリカ
  • 脅威:生息地破壊、密猟、感染症により脅威

ホッキョクグマ

  • 生息地:北極圏
  • 脅威:気候変動による海氷減少が生存を脅かす
ジャイアントパンダ レイレイとシャオシャオ(2022年6月10日 東京都恩賜上野動物園)
ジャイアントパンダ
出典: 江戸村のとくぞう, CC BY-SA 4.0

鳥類

アホウドリ

  • 生息地:北太平洋・南極圏
  • 脅威:乱獲と漁網による事故死が減少要因

ヤンバルクイナ

  • 生息地:沖縄県
  • 脅威:外来種による捕食と生息地破壊が主な脅威

トキ

  • 生息地:日本・中国
  • 脅威:生息地破壊と農薬汚染により野生個体が激減
緑の営巣地に立つコアホウドリの成鳥。近くにはひな鳥が数羽おり、白い体に黒い翼、ピンクのくちばしをしている。
営巣地に佇むコアホウドリ(Phoebastria albatrus)とそのひなたち。一時は絶滅寸前だったが、保護活動により少しずつ個体数が回復している。 写真:Jlfutari氏(CC BY 2.5)|出典:Wikimedia Commons

爬虫類・両生類

オサガメ

  • 生息地:熱帯海域
  • 脅威:漁網、気候変動、海洋プラスチック汚染が脅威

コモドドラゴン

  • 生息地:インドネシア・コモド島
  • 脅威:生息地減少と乱獲が減少要因

アベサンショウウオ

  • 生息地:日本
  • 脅威:河川汚染とダム建設による生息地分断が危機的
砂浜を歩くオサガメ(世界最大のウミガメ)。甲羅には砂がかかっており、海岸の波打ち際に向かっている。
波打ち際に向かうオサガメ(Dermochelys coriacea)。世界最大のウミガメとして知られ、柔らかく革のような甲羅が特徴。絶滅危惧種として国際的に保護されている。 写真:Alastair Rae氏(CC BY-SA 2.0)|出典:Wikimedia Commons

魚類

ニホンウナギ

  • 生息地:日本・東アジア
  • 脅威:乱獲と河川開発が個体数減少の主因

メコンオオナマズ

  • 生息地:東南アジア・メコン川
  • 脅威:乱獲とダム建設による環境変化

クロマグロ

  • 生息地:世界各地の海域
  • 脅威:乱獲により個体数が激減
暗い海中を泳ぐクロマグロ。体は流線型で、背びれの後方には黄色い小離鰭(しょうりき)が並んでいる。
クロマグロ(Thunnus orientalis)は、寿司ネタとしても知られる高級魚で、力強い遊泳力と美しい銀色の体が特徴。太平洋を広く回遊し、持続可能な漁業の課題ともなっている。 写真:Stephane-bdc氏(CC BY-SA 4.0)|出典:Wikimedia Commons

絶滅危惧種を脅かす主な要因

多くの絶滅危惧種は、以下のような人間活動が直接・間接的な原因となり個体数が急激に減少しています:

1. 生息地の破壊と分断

  • 森林伐採
  • 都市開発
  • 農地拡大による生息環境の喪失

2. 乱獲と密猟

  • 商業的価値のための過剰な捕獲
  • 伝統医療のための捕獲

3. 環境汚染

  • 農薬による生態系汚染
  • プラスチックごみの増加
  • 化学物質による生態系への悪影響

4. 気候変動

  • 生息環境の変化
  • 気象パターンの急激な変動

5. 外来種の侵入

  • 在来種を捕食する外来種
  • 生態系のバランスを崩す競合種の導入

保全への取り組み

現在、絶滅危惧種を守るために世界各国で様々な保全活動が行われています:

国際的な取り組み

  • 保護区域の設置と拡大
  • 国際的な保護条約の締結と実施

現地での活動

  • 密猟防止のためのパトロール強化
  • 法執行の強化
  • 生息地の復元と保全
  • 人工繁殖
  • 野生への再導入プログラム
  • 遺伝的多様性の保全

種の回復プログラム

  • 人工繁殖
  • 野生への再導入プログラム
  • 遺伝的多様性の保全

まとめ

レッドリストは野生生物の保全状況を科学的に評価し、種の絶滅リスクを可視化する重要なツールです。

現在、多くの動物種が人間活動の影響で絶滅の危機に瀕しており、生物多様性保全のためには私たち一人ひとりの意識と行動が不可欠です。

レッドリストで示された現状を理解し、持続可能な社会の実現に向けて取り組むことが、未来の世代のために生物多様性を守る第一歩となるでしょう。


参考文献

  • IUCN. (2023). “The IUCN Red List of Threatened Species”. International Union for Conservation of Nature.
  • Mace, G. M., et al. (2008). “Quantification of extinction risk: IUCN’s system for classifying threatened species”. Conservation Biology, 22(6), 1424-1442.
  • IUCN. (2021). “Guidelines for Using the IUCN Red List Categories and Criteria”. Version 15.
  • Rodrigues, A. S., et al. (2006). “The value of the IUCN Red List for conservation”. Trends in Ecology & Evolution, 21(2), 71-76.
  • WWF. (2022). “Amur Tiger”. World Wildlife Fund.
  • Wei, F., et al. (2018). “Progress in the ecology and conservation of giant pandas”. Conservation Biology, 32(5), 1087-1095.
  • Robbins, M. M., et al. (2011). “Extreme conservation leads to recovery of the Virunga mountain gorillas”. PLoS One, 6(6), e19788.
  • Stirling, I., & Derocher, A. E. (2012). “Effects of climate warming on polar bears: a review of the evidence”. Global Change Biology, 18(9), 2694-2706.
  • Croxall, J. P., et al. (2012). “Seabird conservation status, threats and priority actions: a global assessment”. Bird Conservation International, 22(1), 1-34.
  • 環境省. (2020). 「第5次レッドリスト(鳥類)」. 日本の絶滅のおそれのある野生生物.
  • Xi, Y., et al. (2020). “Conservation and reintroduction of the crested ibis in China and Japan”. Oryx, 54(1), 52-59.
  • Wallace, B. P., et al. (2011). “Global conservation priorities for marine turtles”. PLoS One, 6(9), e24510.
  • Jessop, T. S., et al. (2018). “Demographic, distribution and ecological data for the Komodo dragon”. Scientific Data, 5, 180131.
  • 環境省. (2020). 「第5次レッドリスト(両生類)」. 日本の絶滅のおそれのある野生生物.
  • Jacoby, D., & Gollock, M. (2014). “Anguilla japonica”. The IUCN Red List of Threatened Species.
  • Hogan, Z., et al. (2004). “The imperiled giants of the Mekong”. American Scientist, 92(3), 228-237.
  • Collette, B. B., et al. (2011). “High value and long life—double jeopardy for tunas and billfishes”. Science, 333(6040), 291-292.
  • Maxwell, S. L., et al. (2016). “Biodiversity: The ravages of guns, nets and bulldozers”. Nature, 536(7615), 143-145.
  • Hoffmann, M., et al. (2010). “The impact of conservation on the status of the world’s vertebrates”. Science, 330(6010), 1503-1509.

Gemini Generated Image L5p7bql5p7bql5p7

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次