読書介助犬とは?子どもの朗読を支えるセラピー犬の力

図書館で本を読む子どもの隣に静かに寄り添う読書介助犬

本を読むのが苦手な子どもの隣に、先生ではなく犬が座ります。

犬は、読み間違えても笑いません。

急かしたり、注意したりもしません。

ただ静かに、子どもの声を聞いています。

そんな犬たちは、読書介助犬リーディングドッグと呼ばれています。

この記事では、次のことをご紹介します。

  • 読書介助犬とはどのような犬なのか
  • 子どもが犬の前で本を読む理由
  • 英国やオーストラリアの取り組み
  • 読書介助犬に期待される効果
  • 活動する犬の福祉について
目次

読書介助犬とは?

開いた絵本を読む子どもの手と隣で休む犬の前足
犬は読み方を評価しません。その安心感が、子どもが自分のペースで声を出す助けになります。

読書介助犬とは、子どもが本を声に出して読むとき、その隣で静かに聞く犬です。

英語では「Reading Dog」などと呼ばれます。

一般的な介助犬のように、身体的な動作を直接手伝う犬ではありません。

子どもが緊張せずに朗読できるよう、穏やかな聞き手になることが役割です。

英国の動物福祉団体Pets As Therapyは、「Read2Dogs」という活動を学校などで行っています。

犬は子どもの読み間違いを指摘せず、批判もしません。そのため、朗読への緊張を和らげ、自信や集中を支える可能性があると説明されています。

読書介助犬についてもっと知りたい人へ

世界初の読書介助犬とされるオリビアと、子どもたちの交流を描いたノンフィクションがあります。

『読書介助犬オリビア』
今西乃子・作/浜田一男・写真

安楽死寸前で救われた犬オリビアが、子どもたちの朗読を聞く読書介助犬になるまでを描いた児童書です。

子ども向けの本ですが、犬と人との関係に関心がある大人にも読みやすい内容です。

Amazonで『読書介助犬オリビア』を見る

なぜ犬の前だと本を読みやすいの?

図書館の読書スペースで子どもの朗読を静かに聞くセラピー犬
人前で読むことに緊張する子どもも、批判しない犬の前では安心して朗読しやすくなります。

人前で本を読むとき、子どもはさまざまなことを気にします。

「読み間違えたらどうしよう」

「みんなに笑われないかな」

「読むのが遅いと思われたくない」

こうした不安が強いと、本を読むこと自体が嫌になってしまうことがあります。

その点、犬は読み方を評価しません。

犬がそばにいることで、次のような環境が生まれます。

  • 間違えても責められない
  • 読む速さを比べられない
  • 犬に話しかけるように読める
  • 穏やかな雰囲気で練習できる
  • 本を読む時間が楽しい記憶になる

犬が文字を理解しているかどうかは、重要ではありません。

子どもにとって大切なのは、安心して声を出せる相手がいることなのです。

わんちゃんは、上手に読めたかどうかなんて気にしていません。
大好きな人の声が聞こえているだけで、満足なのだと思います。

英国の図書館で行われる「Read2Dogs」

英国ノース・ヨークシャーの図書館では、子どもが犬のそばに座り、本を読む「Read2Dogs」が実施されています。

子どもは犬の隣に用意されたクッションなどに座り、約15分の時間を過ごします。

本を読むだけでなく、絵本を見ながら犬に話しかけることもできます。

この活動では、家族以外の人の前では読めなかった子どもが、犬を撫でながら少しずつ声を出せるようになった事例も紹介されています。

犬は何かを教えようとはしません。

ただ、逃げずにそばにいてくれます。

その静かな時間が、子どもにとっては大きな支えになるのでしょう。

オーストラリアでも広がる読書犬の活動

オーストラリアでは、非営利団体Story Dogsが、読書に苦手意識を持つ子どもを支援しています。

訓練や認定を受けた犬とボランティアが学校を訪れ、子どもと一対一で読書の時間を過ごします。

Story Dogsは2009年に設立され、米国で始まった読書支援プログラムを参考に活動を始めました。

同団体は、犬と読む時間について、読書への不安を和らげ、自信や読書習慣を育てることを目的にしています。

読書介助犬にはどんな効果がある?

読書介助犬に期待されているのは、主に次のような変化です。

  • 朗読への緊張が和らぐ
  • 本を読む意欲が高まる
  • 声に出して読む回数が増える
  • 自分のペースで練習できる
  • 読書に対する自信につながる

ただし、「犬に本を読めば、必ず成績が上がる」とまでは言い切れません。

子どもが犬に本を読む研究をまとめたレビューでは、読書環境や行動面への好ましい影響が示唆されています。

一方で、研究数や研究方法には限界があり、因果関係を断定するには、より質の高い研究が必要だとされています。

つまり、現時点では、

犬が子どもの緊張を和らげ、読書に取り組みやすい環境をつくる可能性がある

と考えるのが適切でしょう。

読書介助犬も「働く犬」だからこそ休息が必要

読書介助犬の活動では、子どもの気持ちだけでなく、犬の気持ちも大切です。

犬なら、どの子でも活動できるわけではありません。

人のそばで落ち着いて過ごせること。

知らない場所や子どもの声に強い恐怖を感じないこと。

疲れたときに、きちんと休めること。

こうした条件を確認する必要があります。

Story Dogsでは、犬の認定や福祉、ボランティアの研修を活動の一部として位置づけています。

犬が嫌がっているのに、子どものためだからと我慢させてはいけません。

人を癒やす犬にも、安心して過ごせる環境が必要です。

「人の役に立っているから」と、犬に我慢をさせてはいけませんね。
犬自身も楽しく、安心して参加できることが何より大切です。

シニア犬が教えてくれる「ただ寄り添う力」

本を読む飼い主の隣で安心して眠るシニア犬
年を重ねて眠る時間が増えても、愛犬が静かにそばにいること自体が私たちの支えになります。

今回確認できた海外の読書支援プログラムは、シニア犬だけを対象にした活動ではありません。

そのため、「読書介助犬として活躍しているのは、主に保護されたシニア犬」とは書かない方が正確です。

けれども、年を重ねた犬が持つ静かな存在感について、考えさせられる取り組みではあります。

愛犬が年をとると、眠っている時間が増えます。

以前のように長い散歩ができなくなったり、遊ぶ時間が短くなったりすることもあります。

飼い主としては、少し寂しく感じるかもしれません。

それでも、犬がそばで静かに呼吸しているだけで、私たちの心が落ち着くことがあります。

何か特別なことをしなくてもいい。

走れなくても、芸ができなくてもいい。

ただそばにいることも、犬が持つ大切な力です。

動物倫理ライター・めあり

愛犬が寝てばかりいると、少し寂しく感じることもあります。
でも、その静かな寝息に、私たちは毎日ずいぶん救われているのかもしれません。

今週末は愛犬の隣で本を読んでみませんか?

読書介助犬は、子どもの間違いを正す犬ではありません。

子どもが安心して声を出せるよう、静かに寄り添う犬です。

私たちの愛犬も、家の中で同じような存在になっているのかもしれません。

今週末は、眠っている愛犬の隣で、本を開いてみませんか。

声に出して読んでも、黙って読んでも構いません。

ページをめくる音と、犬の静かな寝息。

それだけで、いつもの読書時間が少しやさしいものになりそうです。

世界初の読書介助犬と子どもたちの物語を読んでみたい方は、Amazonで『読書介助犬オリビア』を確認できます。

Amazonで『読書介助犬オリビア』を見る

参考文献・出典

  • 英国Pets As Therapy「Schools/Read2Dogs」
  • 英国Local Government Association「Read2Dogs」
  • オーストラリアStory Dogs公式サイト
  • Hallほか「Children Reading to Dogs: A Systematic Review of the Literature」
  • 講談社『読書介助犬オリビア』

※この記事にはアフィリエイト広告を含みます。

最後まで読んでくださって、ありがとうございました!
動物たちの魅力をお伝えできていれば嬉しいです ♡
図書館で本を読む子どもの隣に静かに寄り添う読書介助犬

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
目次