動物を守る条約って?子供にもわかるワシントン条約 動物 一覧と解説【2025年最新版】

ワシントン条約で保護される絶滅危惧種の動物たち(パンダ、トラ、ゾウ、ウミガメ、ベルーガ)

動物を守る条約って?子供にもわかるワシントン条約 動物 一覧と解説【2025年最新版】

皆さんは「ワシントン条約」って聞いたことありますか?

もしかしたら、ニュースで「密輸された象牙(ぞうげ)が税関で押収された」なんていう話を聞いたことがあるかもしれませんね。

ワシントン条約は、絶滅の危機に瀕している動物や植物を、国際的な取引から守るためのルールです。

この条約のおかげで、たくさんの動物たちが絶滅の危機から救われています。

この記事では、ワシントン条約で守られている動物たちを、動物園で見かける動物を中心に、わかりやすく紹介します。

また、動物園に関する法律や、日本でペットとして飼ってはいけない動物についても解説しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

目次

ワシントン条約ってなに?

ワシントン条約とは、正式名称を「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」といい、1973年にアメリカのワシントンD.C.で作られ、1975年から世界中で実施されている、野生動植物の国際取引を規制する条約です。

「サイテス(CITES)」と呼ぶこともあります。

この条約が必要なのは、動物や植物が人間の活動によって絶滅しそうになっているからです。

たとえば、象牙(ぞうげ)を取るためにゾウが乱獲されたり、トラの骨が漢方薬の材料として取引されたり、ペットとしてたくさんの動物が捕まえられたりしていました。

こうした行為が続くと、動物や植物がいなくなり、地球の自然環境や生き物たちのバランスが崩れてしまいます。

特に、絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)と呼ばれる動物や植物は、今すぐにでも絶滅してしまうかもしれないほど数が減ってしまっています。

例えば、ジャイアントパンダ、ゴリラ、トラ、ウミガメなどが絶滅危惧種です。

彼らは、人間の活動によって住む場所を追われたり、密猟によって数が減ってしまったりしています。

ワシントン条約では、このような絶滅危惧種を含む多くの動植物を保護するために、国を越えた取引を制限しているのです。

出典:経済産業省「ワシントン条約について」、WWF「ワシントン条約とは」

ワシントン条約の特徴と仕組み

ワシントン条約は、ただ動植物の取引を全面的に禁止することだけが目的ではありません。

動植物を保護することはもちろん大切ですが、一方で、それらを上手に活用することで、人々の生活を支えることもできるという考え方なんです。

例えば、ある地域に住む人々にとって、昔から森の木材を使って家を建てたり、道具を作ったりすることは、生活に欠かせないことですよね。

ワシントン条約では、そのような地域の人々が、森の資源を大切に使いながら、生活を続けていけるように、取引を制限しつつも、ある程度の利用を認めている場合があります。

このように、ワシントン条約は、動植物を保護することと、人々の生活を支えることの両方を考えながら、ルールを作っているのです。

条約の仕組みとして、動植物は「附属書(ふぞくしょ)」というリストに分類されています。

このリストは、保護の必要性に応じて3つのグループに分かれています。

附属書Ⅰ

  • 特徴
    絶滅の危機が非常に高い動植物が含まれます。これらの種は、商業目的での国際取引が原則として禁止されています。
  • 例外
    学術研究や保護活動などの非商業的な目的に限り、特別な許可を得て取引が可能です。
  • 具体例
    ジャイアントパンダ、トラ、ウミガメ、クロマグロなどが附属書Ⅰに該当します。
ジャイアントパンダが竹林でリラックスしている様子。絶滅危惧種としてワシントン条約により保護されている動物
ジャイアントパンダ(Ailuropoda melanoleuca)は、世界中で愛される絶滅危惧種であり、保護活動の象徴とされています。

附属書Ⅱ

  • 特徴
    現在は絶滅の危機に直面していないものの、取引を制限しなければ将来的に危険にさらされる恐れのある種が掲載されています。
  • 条件
    輸出国が「取引が持続可能である」ことを証明し、必要な許可を取得すれば、商業目的での取引が可能です。
  • 具体例
    タツノオトシゴ、ヨシキリザメ、シュモクザメ、メバチ(世界中の熱帯・亜熱帯海域に生息するマグロの一種)マホガニー高級家具や楽器などに使用される、美しい木目を持つ木材)などが含まれます。
タツノオトシゴが青い海の中で静かに漂っている様子。美しいヒポカンパス属の一種
タツノオトシゴ(Hippocampus)は、そのユニークな形と神秘的な動きで、多くの人々を魅了する海の生物です。

附属書Ⅲ

  • 特徴
    特定の国が保護を求め、他国にも協力を要請している動植物が掲載されています。規制の厳しさは附属書ⅠやⅡよりも緩やかです。
  • 条件
    輸出国や原産国の証明書が必要となります。
  • 具体例
    中国の宝石サンゴやカナダのセイウチ、イシナマコ(主に東太平洋に生息するナマコの一種)などが該当します。

出典:CITES事務局「附属書の分類と規制内容」

中国の宝石サンゴ(Corallium rubrum)の自然な海中環境でのリアルな描写。鮮やかな赤いサンゴが岩場に広がり、透明な青い海水と周囲の小魚や海洋生物が共存している様子。
鮮やかな赤い宝石サンゴ(Corallium rubrum)が生き生きと成長する海中の風景。この美しいサンゴは、保護が求められる貴重な海洋生物であり、生態系のバランスを保つ重要な役割を果たしています。

水族館・動物園の動物とワシントン条約【2025年最新情報】

日本の水族館や動物園で見ることができる動物たちの中にも、ワシントン条約で保護されている動物がたくさんいます。

水族館の人気者たち

水族館でベルーガを観察し海洋哺乳類の保護について学ぶ家族連れの様子
日本の水族館では、ベルーガの展示を通じて海洋哺乳類の保護や北極圏の環境問題について学ぶことができる

ベルーガ(シロイルカ)

  • ワシントン条約の対象:現在は対象外
  • 保護状況:IUCN軽度懸念(LC)
  • 日本で見られる場所:鴨川シーワールド、八景島シーパラダイス、名古屋港水族館
  • 特徴:北極圏に生息する白いイルカで、「海のカナリア」と呼ばれる美しい鳴き声を持つ

アマゾンカワイルカ

  • ワシントン条約の対象:現在は対象外
  • 保護状況:IUCN準絶滅危惧種(NT)
  • 日本での展示:現在、日本の水族館では飼育されていない
  • 保護の課題:アマゾン川の環境破壊により生息地が減少

イルカ類の保護について

海洋哺乳類の多くは、直接的な国際取引よりも、生息地の環境破壊漁業による混獲が主な脅威となっています。

そのため、ワシントン条約とは別に、海洋保護区の設立持続可能な漁業の推進が重要な保護策となっています。

出典:IUCN Red List 2024、日本動物園水族館協会

動物園の人気者たち

ジャイアントパンダ(附属書Ⅰ)

  • 商業取引:原則禁止
  • 日本での展示:上野動物園、和歌山県のアドベンチャーワールド
  • 保護の成果:中国での保護活動により個体数が回復傾向

トラ(附属書Ⅰ)

  • 商業取引:原則禁止
  • 保護の課題:違法な漢方薬取引、生息地の破壊
  • 日本での保護活動:動物園での繁殖プログラム参加

アフリカゾウ(附属書Ⅰ)

  • 象牙取引:商業目的では禁止
  • 2024年の最新動向:象牙の国内市場閉鎖を求める国際的な圧力が継続

出典:環境省「ワシントン条約第19回締約国会議結果」(2024年)

なぜワシントン条約が大切なのか?

ワシントン条約が守ろうとしているのは、ただ動植物を保護することだけではありません。

自然環境を守ることで、地球全体の生態系を維持し、人間の生活も支えることを目的としています。

動物や植物は、食べ物や空気、住む環境など、私たちにとって欠かせない存在です。

もしこれらが失われてしまえば、人間も生きていくことができません。

現在、この条約には183カ国が加盟しており、日本も1980年から参加しています。

日本ではこの条約に基づき、法律を整備して野生動植物の保護と利用のバランスをとる取り組みを続けています。

2024-2025年の最新動向

2024年の第19回締約国会議では、以下の重要な決定がなされました:

  • 新たに44種の動植物が附属書に追加
  • 象牙の国内市場に関する厳格な管理要請
  • 海洋プラスチック汚染が海洋生物に与える影響への対策強化

出典:環境省「ワシントン条約第19回締約国会議の結果概要」

ワシントン条約が守ろうとしているのは、ただ動植物を保護することだけではありません。

自然環境を守ることで、地球全体の生態系を維持し、人間の生活も支えることを目的としています。

動物や植物は、食べ物や空気、住む環境など、私たちにとって欠かせない存在です。

もしこれらが失われてしまえば、人間も生きていくことができません。

現在、この条約には180以上の国が加盟しており、日本も1980年から参加しています。

日本ではこの条約に基づき、法律を整備して野生動植物の保護と利用のバランスをとる取り組みを続けています。

ワシントン条約と動物保護法:動物を守るための2つのルール

ワシントン条約と動物保護法は、どちらも動物を守るためのルールですが、少しだけ違いがあります。

どんな違いがあるのか、見てみましょう!

動物保護法とは?

動物保護法(正式名称:動物の愛護及び管理に関する法律)は、日本国内で、動物をいじめたり、捨てたりすることを禁止するための法律です。

この法律は、犬や猫などのペットだけでなく、動物園の動物や野生動物にも適用されます。

動物保護法は、動物を大切にする考え方を広め、人と動物が仲良く暮らすためのルールを定めています。

  • 動物の生命を尊重することが基本です。
  • 動物をいじめたり、捨てたりすることを禁止しています。
  • 動物を飼う人には、責任を持ってお世話をする義務があります。

具体的には、動物保護法の第44条で「動物をいじめたり、捨てたりすることは禁止」とされています。

このルールに違反した場合、罰金や懲役といった厳しい罰則が科されます。

ワシントン条約と動物保護法のつながり

ワシントン条約と動物保護法は、それぞれ違うルールですが、お互いに協力して動物を守っています。

例えば、ワシントン条約で取引が禁止されているウミガメを日本に密輸しようとすると、動物保護法にも違反してしまいます。

逆に、動物保護法で守られている動物を、許可なく海外に送ってしまったら、ワシントン条約に違反することになります。

動物愛護管理法第44条とは?

動物愛護管理法第44条は、動物を大切に扱い、いじめたり捨てたりするのを禁止するための大切なルールです。

この法律は、動物を守るだけでなく、人間と動物が仲良く暮らしていくために作られました。

どんなことが禁止されているの?

動物愛護管理法第44条では、次のようなことをしてはいけないと決められています:

  • 動物をむやみに殺したり、傷つけたりすること 動物をいじめたり、必要もないのに傷つけたりするのは絶対にダメです。
  • 適切な飼育環境を与えないこと 動物を狭い場所に閉じ込めっぱなしにしたり、エサや水をあげないで放っておくのは虐待になります。これが原因で動物が弱ったり、死んでしまったら大きな問題です。
  • 動物を捨てること 飼っていた動物を山や公園に捨てることは違法です。動物は捨てられると生きていけないことがほとんどです。

違反するとどうなるの?

もしもこれらのルールを破ると、法律で罰を受けることになります。たとえば:

  • 動物を虐待した場合は、最大5年の懲役または500万円以下の罰金
  • 動物を捨てた場合でも、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます

動物は人間にとって大切なパートナーであり、守られるべき存在です。そのため、この法律では厳しい罰則を設けています。

出典:環境省「動物の愛護及び管理に関する法律」

動物を飼うためのルールとは?

日本で野生動物を飼うことは違法ですか?

野生動物を飼うことは、必ずしもすべてが違法ではありませんが、法律で厳しく規制されている場合が多いです。

これは、動物たちを守るためや、人間の安全を確保するために作られたルールがあるからです。

日本で飼えない動物ってどんな動物?

ペットを飼いたいと思った時、どんな動物でも飼っていいわけではありません。

実は、動物を守るため、人間の安全を守るため、そして自然を守るために、飼ってはいけない動物が法律で決められているんです。

具体的に、どんな動物が飼えないのか、見ていきましょう。

飼えない動物の例

ワシントン条約で保護されている動物 絶滅の危機にある動物たちを保護するために、国際的な取引を規制しているワシントン条約。

この条約で保護されている動物は、基本的に飼うことができません。

例えば、ジャイアントパンダ、トラ、ウミガメなどが挙げられます。

日本の鳥や野生動物 スズメやツバメなど、身近にいる鳥たちも、実は捕まえたり飼ったりしてはいけないんです。

彼らは、日本の自然の中で生きていくことが大切だからです。

もし彼らが減ってしまうと、自然のバランスが崩れてしまうかもしれません。

外国から来た動物 アライグマやカミツキガメなど、外国から来た動物の中には、日本の自然に悪影響を与えるものがいます。

このような動物を「特定外来生物」といい、飼育することが禁止されています。

危険な動物 トラやライオン、クマなど、人間を傷つけてしまう可能性のある動物も、特別な許可がない限り飼うことはできません。

世界各国の動物飼育に関するルールの違い

では、世界の国々では、どんな動物を飼うことができるのでしょうか?

いくつかの例を見てみましょう。

アメリカ

州ごとに動物飼育の規制が異なり、州によってはトラやヘビのような危険な動物をペットとして飼うことが許可されている場合があります。

ただし、多くの州では厳しい許可制を導入しており、飼育には専門的な知識や設備が求められます。

また、アメリカもワシントン条約に加盟しており、絶滅危惧種の国際取引を規制しています。

ヨーロッパ

イギリスでは、ペットとして飼える動物のリストが厳格に定められており、特定の危険な動物を飼うには特別な免許が必要です。

スウェーデンなどの国では、動物福祉の観点から、飼育環境が動物の自然な行動を妨げないようにすることが義務付けられています。

飼育スペースの広さや、動物がストレスを感じないような環境作りなどが厳しくチェックされます。

オーストラリア

独自の生態系を守るため、外来種の持ち込みや飼育に対して非常に厳しい制限があります。

例えば、ウサギやアライグマは、オーストラリアに持ち込まれたことで、在来種を駆逐したり、農作物を荒らしたりするなど、深刻な被害をもたらしたため、厳しく規制されています。

アフリカ諸国

多くの国がワシントン条約に加盟しており、象牙やライオンの取引は禁止されています。

一部の国では、特定の野生動物をペットとして飼うことが可能ですが、許可制となっています。

出典:各国政府公式資料、CITES加盟国リスト

動物を守るために私たちにできること

この2つのルールを知ることで、私たちにもできることが見えてきます。

規制品を購入しない、動物園での学習、環境保護活動など、私たち一人ひとりができる野生動物保護への貢献

個人でできる保護活動

  • 絶滅危惧種を守るために、規制されているものを買わない
  • 動物を飼うときは、責任を持って最後まで世話をする
  • 動物がいじめられているのを見たら、大人や専門機関に相談する
  • 水族館や動物園での学習:正しい知識を身につける
  • 環境に優しい生活:プラスチック使用量を減らすなど

水族館・動物園での学習

水族館や動物園は、単に動物を見る場所ではなく、動物保護について学ぶ重要な教育の場です。

  • ベルーガの展示:北極圏の環境問題について学ぶ
  • ペンギンの展示:海洋汚染の影響を知る
  • トラやゾウの展示:密猟問題と保護活動を理解する

多くの水族館・動物園では、保護活動への寄付研究プログラムへの参加も行っています。

最新の保護技術

2024年現在、動物保護には最新技術も活用されています:

  • AI画像解析:野生動物の個体数調査
  • GPS追跡:回遊ルートの解明
  • 遺伝子解析:近親交配の防止
  • ドローン監視:密猟の取り締まり

出典:WWF「野生生物保護技術レポート2024」

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ワシントン条約 動物 一覧のまとめ

  • ワシントン条約とは、絶滅危惧種の取引を規制する国際条約
  • 183カ国が加盟し、日本は1980年から参加
  • 動物は附属書Ⅰ~Ⅲに分類され、それぞれ異なる規制
  • 附属書Ⅰは絶滅危惧種で商業目的の取引を原則禁止
  • 水族館・動物園の動物の多くもワシントン条約で保護
  • ベルーガやイルカ類は現在条約対象外だが、別の保護課題あり
  • 2024年には44種が新たに附属書に追加
  • 日本の法律では外為法と種の保存法で国内規制を実施
  • 動物愛護管理法は国内の動物虐待防止を規定
  • 個人でもできる保護活動が多数存在
  • 最新技術を活用した保護活動が進展
  • 教育と啓発が持続可能な保護活動の鍵

参考文献・出典

  1. 経済産業省「ワシントン条約について」(2024年)
  2. 環境省「ワシントン条約第19回締約国会議の結果概要」(2024年)
  3. WWF「ワシントン条約(CITES)とは」(2024年)
  4. CITES事務局「附属書改正情報」(2024年)
  5. IUCN Red List「絶滅危惧種リスト」(2024年)
  6. 日本動物園水族館協会「保護活動報告」(2024年)
  7. 税関「ワシントン条約該当物品の輸入差止等実績」(2024年)
  8. 外務省「ワシントン条約」公式資料

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