日曜劇場『VIVANT』を観ていて、砂漠を進むラクダの姿が気になりました。
ラクダといえば、「こぶの中には水が入っている」と思っている方も多いのではないでしょうか。
ところが、これはよく知られた勘違い。ラクダのこぶの中身は水ではなく、砂漠で生き抜くために蓄えられた脂肪です。
この記事では、こぶの正体から、大量の水を飲めるしくみ、長いまつげやトゲのある植物を食べられる口まで、ラクダの驚くべき体の秘密をわかりやすく紹介します。
お子さんの「なんで?」にも答えられる、動物園に行く前にも読んでおきたいラクダの豆知識です🐪
この記事でわかること
- こぶの中身は「水」じゃなくて◯◯だった
- 一度に約100L!水の飲み方と体のしくみ
- まつげ・まぶた・鼻…砂漠仕様の顔
- トゲのあるサボテンを食べられる口の秘密
- 寿命・鳴き声・種類(ヒトコブとフタコブ)
- ラクダミルクってどんなもの?
結論:ラクダのこぶの中身は「脂肪」です
いちばん多い誤解から先に解決します。ラクダのこぶに水は入っていません。中身のほとんどは脂肪です。
ヒトコブラクダで、こぶ1つあたり数十kgもの脂肪が蓄えられることがあります。食べ物が手に入らないとき、この脂肪を少しずつエネルギーに変えて生き延びる、いわば背中に背負った非常食タンクなんですね。

じゃあ、こぶがしぼんでいるラクダは……?

脂肪を使い切ったサインなんです。エサをしっかり食べると、こぶはまたピンと立ってきますよ。
ちなみに、脂肪をエネルギーとして分解するときには「代謝水(たいしゃすい)」というごくわずかな水も生まれます。ただしこれは補助的なもので、「こぶの脂肪が水に変わってゴクゴク飲める」わけではない、という点は押さえておきましょう。
ここがポイント こぶ=水タンク ❌ / こぶ=脂肪でできたエネルギータンク ⭕。
さらに脂肪が背中に集中していることで、体の熱が逃げやすく、強い日差しから内臓を守る「断熱材」の役割も果たしています。
水を飲まずに何日も歩ける、本当の理由
「こぶが水タンクじゃないなら、どうやって砂漠で水なしに耐えるの?」——ここが本当にすごいところ。ラクダは体そのものが乾燥に強くできています。
① 一度に約100リットルもの水を飲む
水場にたどり着くと、ラクダは一気に大量の水を飲みます。その量は一度に約100Lにもなるといわれます(体の状態により差があります)。人間なら水中毒で危険な量ですが、ラクダは平気。飲んだ水はまず胃にたまり、数時間かけて少しずつ血液へ吸収されていきます。
② 赤血球が「楕円形」で壊れにくい
一気に水を飲むと血液が薄まり、ふつうの動物なら赤血球が膨らんで壊れてしまいます。ところがラクダの赤血球は楕円形で、2倍近くまで膨らんでも破裂しにくい構造。だから大量の水を安全に取り込めるんです。
③ とにかく水を逃さない体
ラクダはほとんど汗をかきません。体温を34〜40℃の広い範囲で変動させ、暑い日中は体温を上げてやり過ごし、汗による水分ロスを最小限に。さらに尿を濃く、鼻の中で呼気の水分を回収するしくみまで備えています。
こうした合わせ技のおかげで、ラクダは体重の体重の約3割近い水分を失っても耐えられる。人間は1割ほど失うと命に関わるので、けた違いのタフさです。

「砂漠の船」って呼ばれるの、納得です…!
まつげ・まぶた・鼻——顔ぜんぶが砂漠仕様
「ラクダ まつげ 長い」で検索する人が多いのも納得。あの長いまつげ、オシャレではなく砂よけなんです。
ラクダのまつげは上まぶたに二重(2列)に生えていて、舞い上がる砂や強い日差しから目を守ります。さらにまぶたは薄い膜状のものを含めて何枚もあり、砂が入っても目を守りながら視界を確保できます。鼻の穴も自由に開け閉めでき、砂嵐のときはキュッと閉じられます。
顔まわりのすごい装備 ・二重の長いまつげ=砂・日差しよけ
・開閉できる鼻の穴=砂嵐対策
・耳の内側の毛=砂の侵入を防ぐ
砂漠で生きるための「フル装備の顔」なんですね。
トゲだらけのサボテンを食べられる口の秘密
ラクダがトゲのあるサボテンをバリバリ食べる映像を見て、「痛くないの!?」と驚く人も多いはず。じつはこれ、口の中の特別なつくりのおかげです。
ラクダの口の中には乳頭(にゅうとう)と呼ばれる円すい形の突起がびっしり並んでいます。
この突起の一部は爪と同じケラチンでできていて硬く、しかもすべて喉の方向(食道側)を向いて生えています。
食べ物を口に入れると、この突起がトゲの向きを一方向に整え、頬や喉に刺さらないよう安全に食道へ流し込むガイドとして働きます。さらに奥歯をすり合わせる独特の噛み方で、トゲの一点集中ダメージを避けているんですね。
ただし「まったく痛くない」わけではありません。専門家によれば、トゲで傷つく可能性はゼロではなく、それでも栄養のある茎を食べるために多少の不快感は我慢していると考えられています。
エサの乏しい地域のラクダが、生きるために身につけた工夫なのです。
寿命・鳴き声・種類——知っておきたい基本

寿命はどのくらい?
ラクダの寿命はおおよそ20〜40年ほど。家畜として人と暮らしてきた歴史も長く、繁殖はメスの妊娠期間が約1年と、ゆっくりペースです。
どんな鳴き声?
ラクダは「ヴォォー」「グモォー」といった、低くうなるような独特の声で鳴きます。文字にしづらい、なんとも味のある声です。動物園で会えたら、ぜひ耳をすませてみてください。
ヒトコブとフタコブの違い
現在生きているラクダは大きく分けて、こぶが1つのヒトコブラクダと、こぶが2つのフタコブラクダ。世界のラクダの約9割はヒトコブラクダで、主に北アフリカ〜西アジアの乾燥地帯に暮らします。
フタコブラクダは中央アジア原産で寒さに強く、野生の個体は約1,000頭ほどしか残っていない絶滅危惧種です。

日本の動物園で「乗れる」のは、寒さに強いフタコブラクダが多いんですよ。
もっと知りたい人へ|ラクダと人の物語が読める本
ラクダのすごさは、体のしくみだけではありません。何千年ものあいだ、人はラクダと共に旅をし、荷を運び、暮らしを支えあってきました。ここでは、そんな「ラクダと人の関係」に敬意をもって向き合った本を選んでご紹介します。
親子で読める絵本『ラクダで塩をはこぶ道』
エリザベス・ズーノン 作/千葉茂樹 訳/あすなろ書房。サハラ砂漠を750キロ、ラクダとともに塩を運ぶ少年のはじめての旅を描いた美しい絵本。ラクダが人の暮らしの「相棒」であることが、やさしく伝わります。Amazonで見る ▶
まとめ:ラクダは「砂漠を生きる工夫」のかたまり
最後に、この記事のポイントをおさらいします。
ラクダのすごいところ まとめ ・こぶの中身は水ではなく脂肪(エネルギータンク)
・一度に約100L飲み、体重の3〜4割の水分ロスにも耐える
・二重のまつげ・開閉する鼻で砂漠仕様の顔
・口の中の突起でトゲのサボテンも食べられる
・寿命は約20〜40年、世界の約9割はヒトコブラクダ
のんびりした見た目の裏に、これだけの「生きる工夫」が詰まっているラクダさん。
参考文献・出典
・ナショナル ジオグラフィック日本版「フタコブラクダ」
・日本経済新聞(ナショナル ジオグラフィック)「トゲごとサボテンのみ込む 砂漠生きるラクダの超能力」
・ラクダ – Wikipedia
・コトバンク「ラクダ」
・るるぶKids「ラクダの生態やコブについて」
・GIGAZINE「ラクダのコブに貯蔵されているのは『水』ではない」
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