春の訪れを告げる「ホーホケキョ」の美しい声。でも、梅の木で見かける鮮やかな緑色の鳥、実はウグイスではないって知っていましたか?
この記事では、多くの人が間違えるウグイスとメジロの見分け方から、混同される意外な理由、そして知られざる保護の歴史まで徹底解説します。
バードウォッチング初心者から野鳥ファンまで、この記事を読めば春の野鳥観察が何倍も楽しくなります。
ウグイスとメジロ|あなたは見分けられる?
突然ですが、クイズです。
春の梅園で、紅梅の枝に止まって花の蜜を吸っている鮮やかな黄緑色の小鳥を見かけました。近くからは「ホーホケキョ」という美しい鳴き声が聞こえています。
さて、あなたが見ているこの鳥は、ウグイスでしょうか?それともメジロでしょうか?
正解は…メジロです!
実は、この質問で「ウグイス」と答えてしまう人が非常に多いのです。なぜなら、私たちの多くが持っている「ウグイス」のイメージが、実際のウグイスとは大きく異なっているからです。
春のお花見シーズンになると、梅や桜の木で見かける緑色の小鳥を指差して「ウグイス!」と言っている人を多く見かけます。でも、その90%以上はメジロの間違いなのです。

えっ!?ウグイスって緑色じゃないの?
この記事では、なぜこんな混同が起きるのか、どうやって見分ければいいのか、そして知られざる歴史まで、詳しく解説していきます。
ウグイスとメジロの基本情報

まず、それぞれの鳥の基本的なデータを見ていきましょう。
ウグイスの基本データ
学名:Horornis diphone
英名:Japanese Bush Warbler
分類:スズメ目ウグイス科ウグイス属
サイズ:
- 体長:オス約15〜16cm、メス約14cm
- 体重:約17g
- 翼開長:オス約21cm、メス約18cm
生態:
- 寿命:野生下で約4〜6年
- 分布:日本全国、サハリン、東アジア
- 渡り区分:留鳥/漂鳥(渡り鳥ではない。夏は山地、冬は平地へ移動する地域もある)
- 生息環境:平地から山地の林、藪のある場所
特徴:英名の「Bush Warbler(藪でさえずる鳥)」が示すとおり、藪を好む警戒心の強い鳥です。山梨県と福岡県の県鳥に指定されており、日本の多数の市町村で自治体指定の鳥となっています。
メジロの基本データ
学名:Zosterops japonicus
英名:Japanese White-eye
分類:スズメ目メジロ科メジロ属
サイズ:
- 体長:約12cm
- 体重:9〜11g
- 翼開長:約18cm
生態:
- 寿命:野生下で平均5〜7年、飼育下では10年以上
- 分布:日本全国、朝鮮半島、台湾、東南アジア
- 渡り区分:留鳥/漂鳥(渡り鳥ではない。一年中日本にいる)
- 生息環境:平地から山地の広葉樹林、市街地の公園
特徴:英名も「White-eye」、中国語でも「繍眼鳥(美しいぬいとりの意味)」と、目の周りの白い輪が各国で名前の由来になっています。和歌山県と大分県の県鳥に指定されており、2007年までは50円切手のデザインにもなっていました。

メジロの方が一回り小さくて軽いんだね!体重で見るとウグイスの約半分くらい
一目瞭然!ウグイスとメジロの見分け方【完全ガイド】
まずは、ウグイスとメジロの基本的な違いを押さえましょう。実は、見た目も鳴き声も行動も、全く違う鳥なのです。
見た目の決定的な違い|色・サイズ・特徴

ウグイスの見た目
体長:オス約15cm、メス約13cm(スズメとほぼ同じサイズ) 体色:灰褐色〜淡いオリーブ色(地味な茶色がかった色) 特徴:
- 目の上に白い眉斑(びはん)=眉毛のような白い線がある
- 目を横切る黒い線(過眼線=かがんせん)が特徴的
- 全体的に優しい顔つき
- やや細身でスマートな体型
- 尾が比較的長い
実際のウグイスは、多くの人がイメージする鮮やかな緑色ではなく、渋い茶褐色をしています。パッと見ると、スズメと見間違えてもおかしくないほど地味な色合いです。

メジロの見た目
体長:10〜12cm(ウグイスより小さめ) 体色:抹茶のような鮮やかな黄緑色 特徴:
- 目の周りに真っ白なアイリング(白い縁取り)=名前の由来
- 頭部から腹部にかけて明るい黄緑色
- ふっくらとした丸みのある体型
- 小柄で愛らしい印象
メジロの最大の特徴は、その名の通り「目の周りの白い縁取り」です。まるで白いアイシャドウを塗ったような、くっきりとした白いリングが目立ちます。

ウグイスって意外と地味な色なんだ!緑色のイメージだったのに…
重要ポイント:いわゆる「うぐいす色」は、実はメジロの色です。うぐいす餅やうぐいす餡の鮮やかな緑色は、本来のウグイスの色ではありません。本物の「鶯色(うぐいすいろ)」は、日本の伝統色としてはもっと渋い灰色がかった緑色を指します。
鳴き声で聞き分ける|特徴的な違い
ウグイスの鳴き声
さえずり(繁殖期):「ホーホケキョ!」
- 春から初夏(2月〜7月頃)にかけて聞かれる
- オスのみが鳴く求愛の歌
- 高らかで美しいメロディー
- 誰もが聞いたことのある覚えやすい鳴き声
- 縄張り宣言の意味もある
地鳴き(非繁殖期):「チャッチャッ」「ジャッジャッ」
- 秋冬に聞かれる
- 警戒時の鳴き声
ウグイスは「日本三鳴鳥」の一つに数えられるほど、美しい鳴き声で有名です。(他の二種はオオルリとコマドリ)
メジロの鳴き声
さえずり:「チュルチュルチー」「ピーチュルピーチュル」
- 複雑で早口
- 甘くて可愛らしい声質
- 色々な鳴き方を組み合わせる
- 特定のメロディーがなく印象に残りにくい
地鳴き:「チー、チー」「キュルキュル」
- スズメに似た鳴き声
メジロも美しい声で鳴きますが、ウグイスのように印象的なメロディーではないため、一般的にはあまり知られていません。実は、メジロも美声の持ち主で、かつては「鳴き合わせ会」という、より美しく鳴くメジロを競わせる会が開催されていたほどです。

「ホーホケキョ」はウグイスの鳴き声だから、メジロは違う鳴き方なんだね!
行動パターンの違い|警戒心と食性
ウグイスの行動
警戒心:非常に強い
- 藪や茂みの中に隠れていることが多い
- 人前にはほとんど姿を現さない
- さえずる時も茂みの中や目立たない場所で
- 「声はすれども姿は見えず」の典型
食性:昆虫食中心
- 主に虫を食べる
- 梅や桜の花の蜜は吸わない
- 梅の木に来るのは、木にいる昆虫を捕まえるため
行動範囲:
- 繁殖期以外は単独行動
- 下草の生えた暗い場所を好む
- 平地から山地の林に生息
ウグイスは非常にシャイな性格で、人が近づくと「ケキョケキョケキョ!」と警戒の声を上げて藪の奥へ逃げてしまいます。そのため、美しいさえずりは聞こえても、なかなか姿を見ることができません。
メジロの行動
警戒心:薄い(人懐っこい)
- 人前にも平気で姿を現す
- 庭先や公園にも頻繁にやってくる
- エサがあれば近づいてくる
- 梅園など人が多い場所でもよく見られる
食性:甘党!花の蜜と果実が大好き
- 花の蜜を吸う(舌がブラシ状になっている)
- 梅、椿、桜などの花によく集まる
- 果実も好んで食べる
- みかんの輪切りを置くと食べに来る
行動範囲:
- 群れで行動することが多い
- 複数羽で飛び回る
- 繁殖期は一夫一妻のペアを形成
メジロは「目白押し」という言葉の語源にもなっています。これは、メジロが枝に押し合いへし合いとまる様子から生まれた言葉で、「混雑している」という意味で使われます。
特徴的な習性:メジロは小鳥の中では珍しく、一生同じパートナーと過ごす一夫一妻制です。よく「おしどり夫婦」と言いますが、実際のオシドリは毎年違うパートナーと繁殖します。本当に仲の良い夫婦は「メジロ夫婦」と呼んだ方が正確かもしれません。

メジロって人懐っこくて、甘いものが好きなんだ!可愛い〜
なぜ間違われる?「梅に鶯」と「うぐいす色」の誤解
ここまで読んで、「ウグイスとメジロって全然違うじゃん!」と思った方も多いでしょう。それなのに、なぜこれほど多くの人が混同してしまうのでしょうか?
「梅に鶯(うめにうぐいす)」の本当の意味
「梅に鶯」という言葉を聞いたことがありますか?花札の絵柄としても有名ですね。
この言葉から、「ウグイスは梅の木によく来る鳥」というイメージを持っている人が多いのですが、実はこれが大きな誤解の原因なのです。
「梅に鶯」の本来の意味:
- 「取り合わせの良い二つのもの」
- 「よく似合って調和する二つのもの」
- 「仲の良い間柄」のたとえ
つまり、これは実際にウグイスが梅の木によく止まっているかどうかとは関係のない、詩歌や絵画の題材としての美しい組み合わせを表す言葉なのです。
実際には:
- 梅の木によく集まるのはメジロです
- メジロは花の蜜が大好きなので、梅や椿、桜の花に頻繁にやって来ます
- ウグイスは花の蜜を吸わないため、梅の木に来ることは稀です
- ウグイスが梅の木に来るのは、木にいる昆虫を捕まえる時だけ
ここに混同の大きな原因があります。
江戸時代の勘違い説: よく言われるのが、「江戸時代の人々が、藪の奥で『ホーホケキョ』と鳴くウグイスの声を聞きながら、目の前の梅の木でチョコチョコ動き回る緑色のメジロの姿を見て、あの緑色の鳥がウグイスだと勘違いした」という説です。
ただし、これには異論もあります。江戸時代には、ウグイスもメジロも籠で飼われていた(当時は合法でした)ため、実際の姿を知っていた人も多かったはずです。花札の絵柄がメジロのように鮮やかな色をしているのは、商品として見栄えを良くするためのデザイン上の選択だったという説もあります。
いずれにしても、現代の私たちの間で混同が広まっているのは事実です。
「うぐいす色」の混乱

「うぐいす色」と聞いて、どんな色を思い浮かべますか?
多くの人が抹茶のような鮮やかな黄緑色をイメージするのではないでしょうか。
しかし、日本の伝統色としての「鶯色(うぐいすいろ)」は、実際のウグイスの羽根に近い灰色がかった渋い緑色を指します。江戸時代の着物の色として流行した「鶯茶」も、実際のウグイスの色を基にしています。
混乱の原因:
- うぐいす餅:青きな粉をまとった鮮やかな緑色
- うぐいす餡:青えんどう豆を使った明るい緑色
- 花札の絵柄:メジロのような鮮やかな色の鳥
これらの身近なものが、「ウグイス=鮮やかな緑色」というイメージを広めてしまったのです。実際には、その色はメジロの色なのですが。

うぐいす餅の色って、本当はメジロ色だったんだ!
声と姿のギャップが生む混同
混同が起きる最大の理由は、ウグイスとメジロの行動パターンの違いにあります。
春の梅園でのシーン:
- どこかから「ホーホケキョ」という美しい鳴き声が聞こえる(ウグイス)
- 目の前の梅の木で、鮮やかな緑色の鳥が忙しく飛び回っている(メジロ)
- 「あ!ウグイスだ!」と思ってしまう(間違い)
実際は:
- 鳴いているウグイスは藪の中に隠れていて見えない
- 見えているのはメジロで、メジロは「チュルチュル」と鳴いている
- でも「ホーホケキョ」の声が印象的すぎて、目の前の鳥が鳴いていると錯覚してしまう
このように、声はウグイス、姿はメジロというギャップが、混同を生んでいるのです。
加えて、両種とも春に活発になる「春の鳥」であること、生息環境が重なっていることも、混乱に拍車をかけています。
【重要】メジロとウグイスの法的保護|知っておくべき歴史
ここからは、あまり知られていない重要なテーマです。実は、メジロもウグイスも法律で守られている野鳥であり、特にメジロには知られざる歴史があります。
メジロの飼育が全面禁止になった理由
現在、メジロを捕獲・飼育することは原則として禁止されています。
これは「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(鳥獣保護管理法)」によって定められており、違反すると1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科されます。

メジロを捕まえたり飼ったりするのは違法です!
飼育禁止までの歴史
実は、メジロは2012年(平成24年)4月まで、一定の条件下で飼育が許可されていました。
2007年(平成19年)まで:
- 7種類の野鳥の愛玩飼養が許可されていた
- メジロ、ウグイス、ホオジロ、ヤマガラ、ヒバリ、ウソ、マヒワ
2007年〜2012年:
- メジロのみ、1世帯1羽に限り飼育が許可された
- 毎年の飼養登録更新が必要
- 足環(識別用の輪)の装着が義務付けられた
2012年4月〜現在:
- メジロの愛玩目的の新規捕獲を全面禁止
- それ以前に登録されていた個体のみ、更新手続きをすれば飼育継続可能
なぜ禁止になったのか?
全面禁止に至った理由は、深刻な問題がありました。
1. 密猟・乱獲の助長
- 「1世帯1羽」の制度が、密猟者の隠れ蓑に使われた
- 密猟者が警察の取り締まりから逃れるために、合法的な飼養登録票を悪用
- 本来保護すべき野鳥の個体数減少
2. 「鳴き合わせ会」と高額取引
- 日本には昔から、メジロが3分間で鳴く回数を競う「鳴き合わせ会」という文化があった
- 優秀なメジロは高値で取引された
- 競技用のメジロを求めて、違法な捕獲が横行
3. 反社会的勢力の資金源
- 高値で取引されるメジロの密猟・密売が、暴力団等の資金源になっていたという指摘
- 動物福祉の問題だけでなく、社会的な問題でもあった
4. 自然保護団体の長年の働きかけ
- 日本野鳥の会や全国野鳥密猟対策連絡会(密対連)などが、「野の鳥は野に」をモットーに活動
- 環境省に対して制度廃止を要望
- 2012年の全面禁止に至った
このような経緯から、メジロの愛玩飼養は禁止され、野生のメジロは完全に保護されることになったのです。
ウグイスも保護対象
ウグイスも同様に、鳥獣保護管理法によって保護されています。
すべての野鳥は、原則として捕獲・飼養が禁止されており、許可なく捕まえること、売ること、飼うことはすべて違法です。(狩猟鳥獣や、特別な許可を得た場合を除く)
違法な飼養を見かけたら:
- 足環がついていない野鳥を飼っている
- かごにたくさんの野鳥を入れている
このような場合は、違法の可能性があります。都道府県や市町村の鳥獣保護担当窓口に連絡しましょう。
動物福祉の視点から
野鳥を自然の中で観察するのではなく、捕獲して飼育することには、いくつかの問題があります。
1. 個体の福祉
- 野生の鳥を狭いかごに閉じ込めることは、鳥のストレスになる
- 本来の生息環境とは異なる環境での飼育
- 自由に飛び回る能力を奪う
2. 生態系への影響
- 個体数の減少
- 繁殖への悪影響
- 生態系バランスの崩壊
3. 倫理的な問題
- 野生動物は野生で生きるべき
- 人間の娯楽のために野生動物を利用することの是非
現在の法制度は、これらの動物福祉の観点と、生物多様性保全の観点から、野鳥を保護するために整備されています。

野鳥は野生で自由に生きてこそ、本当の美しさが見られるんだね
ウグイスとメジロの生態を知ろう|四季を通じた観察
それでは、ウグイスとメジロがどのように一年を過ごすのか、詳しく見ていきましょう。
ウグイスの一年
春(2月〜5月):繁殖期のはじまり
2月下旬〜3月:
- さえずりの練習を始める
- 最初は「ホー…ホ…ケキョ」とたどたどしい
- 徐々に上達して美しい「ホーホケキョ!」になる
- この時期を「ウグイスの初鳴き」と呼び、春の訪れを告げる
4月〜5月:
- 本格的な繁殖期
- オスは縄張りを持ち、高らかにさえずる
- メスへの求愛と、縄張り宣言の両方の意味がある
- 藪の中に巣を作る
鳴き声の秘密: 「ホー」は吸う息、「ホケキョ」は吐く息で鳴いています。胸をいっぱいに膨らませてさえずる姿は、とても一生懸命です。
夏(6月〜8月):子育て
- 繁殖が続く
- 山の方へ移動する個体もいる
- さえずりは徐々に減っていく
- 昆虫が豊富な時期で、ヒナの餌も確保しやすい
秋〜冬(9月〜1月):地鳴きの時期
- さえずりは聞かれなくなる
- 「チャッチャッ」「ジャッジャッ」という地鳴きに変わる
- この地鳴きを覚えれば、冬でもウグイスを見つけられる
- 湿地や藪のある場所に生息
- 単独行動が基本
「春になるとウグイスがやって来て、夏が終わるとどこかへ行ってしまう」と思っている人もいますが、実はウグイスは一年中日本にいます。ただし、繁殖期以外は鳴かないため、存在に気づかないだけなのです。
メジロの一年
春(3月〜5月):花の蜜を求めて
3月〜4月:
- 梅や椿の花が咲くと、蜜を吸いに集まる
- 桜の開花時期には桜の花にも
- ペアで行動することが多い
- さえずりが活発になる
4月〜5月:
- 繁殖期
- 木の枝に巧みな巣を作る
- 一夫一妻のペアで子育て
- オスもメスも協力して子育てをする
夏(6月〜8月):昆虫も食べる
- 花の蜜だけでなく、昆虫も食べる
- ヒナには主に昆虫を与える
- 木陰で過ごすことが多い
秋〜冬(9月〜2月):群れで行動
9月〜11月:
- 繁殖を終えたメジロは群れを作る
- 5〜10羽程度の小群で行動
- 木の実を食べる
12月〜2月:
- 山に餌がなくなると平地に下りてくる
- 市街地の公園でも見かけるようになる
- ツバキなど冬に咲く花の蜜を吸う
- 果実も好んで食べる
メジロは冬の間、エネルギーを確保するために積極的に餌を探します。この時期に庭に果物を置いておくと、メジロが訪れることがあります。
庭でメジロやウグイスに出会うには?
野鳥との出会いは、自然からの素敵な贈り物です。ただし、野鳥との付き合い方には注意が必要です。
メジロを庭に呼ぶ方法
メジロは人懐っこい性格なので、庭に呼ぶことは比較的簡単です。
1. 蜜源植物を植える
メジロは花の蜜が大好きです。以下のような植物を庭に植えると、花が咲いた頃にメジロが訪れるようになります。
- ツバキ(椿):冬〜春に開花
- ウメ(梅):2月〜3月
- サクラ(桜):3月〜4月
- ボケ(木瓜):春
- カンツバキ(寒椿):秋〜冬
2. 果物を置く
冬の間、メジロは果実も好んで食べます。
- みかんの輪切りを枝に刺す
- りんごの切れ端
- 柿
みかんは特に人気で、メジロが集まりやすくなります。
3. 複数で訪れる
メジロは「目白押し」の語源通り、複数羽で行動します。餌場として認識されると、数羽で一緒に訪れて枝を飛び回る愛らしい姿を楽しめます。
餌付けの注意点【重要】
野鳥への餌付けは、適切に行わないと野鳥の自然な生態を損なう可能性があります。
注意すべきこと:
- 与えすぎない
- 野鳥が人間の餌に依存してしまうと、自分で餌を探す能力が衰える
- 少量にとどめる
- 期間を限定する
- 冬の餌が少ない時期(12月〜3月頃)に限定
- 一年中与え続けるのは避ける
- 春以降は自然の花や虫が豊富になるので不要
- 清潔に保つ
- 古い果物は撤去する
- カビや腐敗に注意
- 水場も清潔に保つ
- 近隣への配慮
- 鳥の排泄物による汚れ
- 鳴き声が響く可能性
- 周囲の畑や住民に迷惑をかけないように
- 適切な食べ物を与える
- 塩分・糖分・添加物の多い人間の食べ物は避ける
- パンや米は栄養バランスが悪い
- 果物やヒマワリの種など、自然に近いものを
基本の考え方:野鳥は本来、自然の中で自分で餌を見つけて生きる生き物です。餌付けはあくまで「観察を楽しむためのきっかけ」程度にとどめ、野鳥の自立を損なわないようにしましょう。

餌をあげすぎると、野鳥のためにならないんだね。適度が大切!
ウグイスの観察ポイント
ウグイスは警戒心が強いため、メジロのように簡単には姿を見せてくれません。
観察のコツ
1. 声を頼りに探す
- 春先(2月下旬〜7月)の「ホーホケキョ」
- 冬の「チャッチャッ」という地鳴き
- 声がする方向をじっくり観察
2. 観察場所
- 藪や茂みのある場所
- 下草の生えた林
- 公園の植え込み
- 川沿いの茂み
3. 時間帯
- 早朝がおすすめ
- 夕方も活発に鳴くことがある
4. 動かず待つ
- ウグイスは警戒心が強いので、こちらが動くと逃げてしまう
- じっと静かに待つことが大切
- 双眼鏡があると便利
5. さえずりの場所
- たまに藪から出て、枝先でさえずることがある
- その瞬間が観察のチャンス
バードウォッチングを楽しむために
野鳥観察は、自然とのつながりを感じられる素晴らしい趣味です。
準備するもの:
- 双眼鏡(8倍程度が初心者向け)
- 野鳥図鑑やアプリ
- メモ帳(観察記録用)
- カメラ(あれば)
マナー:
- 野鳥に近づきすぎない
- 巣に近づかない(特に繁殖期)
- 大声を出さない
- ゴミは持ち帰る
- 私有地に無断で入らない
楽しみ方:
- 鳴き声を覚える
- 行動を観察する
- 季節による変化を記録する
- 写真を撮る(望遠レンズが必要)
ウグイスとメジロ|文化と日本人
ウグイスとメジロは、古くから日本人に親しまれてきた鳥です。
日本三鳴鳥としてのウグイス
ウグイスは、オオルリ、コマドリと並んで「日本三鳴鳥」に数えられます。
- ウグイス:「ホーホケキョ」の明瞭なさえずり
- オオルリ:美しい青い羽と澄んだ声
- コマドリ:「ヒンカララ」という複雑な美声
これら三種は、江戸時代から美しい鳴き声を持つ鳥として愛でられてきました。
春告げ鳥としての文化的意義
ウグイスは「春告げ鳥(はるつげどり)」とも呼ばれます。
- 春を告げる鳥として、和歌や俳句に数多く詠まれてきた
- 「梅に鶯」という言葉も、春の訪れの象徴
- 日本人の季節感と深く結びついている
ウグイスの名前の由来: 諸説ありますが、「奥(ウグ)」+「出ず(イス)」で「奥から出てくる」という意味という説があります。藪の奥で鳴いているウグイスの特徴をよく表しています。
メジロと日本の伝統
かつての鳴き合わせ文化
メジロも、美しい声を持つ鳥として愛好されてきました。
- 江戸時代から「鳴き合わせ会」が開催されていた
- 3分間に何回鳴くかを競う競技
- 優秀なメジロは高値で取引された
- 愛好家の間で人気があった
しかし、この文化が密猟や乱獲の温床になってしまったという負の側面もあり、現在では野生メジロの捕獲は全面禁止されています。
「目白押し」の語源
「目白押し」という言葉は、メジロが枝に押し合いへし合いとまる様子から生まれました。
- 現代では「混雑している」という意味で使われる
- メジロの群れで行動する習性をよく表している
現代の保護活動
現在、日本では多くの自然保護団体が野鳥保護活動を行っています。
日本野鳥の会:
- 「野の鳥は野に」をモットーに活動
- バードウォッチングの普及
- 野鳥保護活動
全国野鳥密猟対策連絡会(密対連):
- 密猟・違法飼養の監視
- 識別マニュアルの作成
- シンポジウムの開催
これらの団体の長年の活動によって、メジロの愛玩飼養禁止が実現し、野鳥保護が進んでいます。
私たち一人ひとりができることは:
- 野鳥を自然の中で観察し、楽しむ
- 違法な捕獲・飼養を見かけたら通報する
- 自然環境を守る
- 次世代に豊かな自然を残す
まとめ|ウグイスとメジロを正しく知って春を楽しもう
ここまで、ウグイスとメジロの違いから、混同される理由、保護の歴史まで詳しく見てきました。最後に、重要なポイントをおさらいしましょう。
見分け方のおさらい
ウグイス:
- 色:灰褐色〜淡いオリーブ色(地味)
- 目:眉斑(白い眉毛のような線)
- サイズ:約15cm
- 鳴き声:「ホーホケキョ」
- 性格:警戒心が強く、姿を見せない
- 食性:昆虫中心
- 行動:単独行動が基本
メジロ:
- 色:鮮やかな黄緑色(抹茶色)
- 目:白いアイリング(名前の由来)
- サイズ:約10〜12cm
- 鳴き声:「チュルチュルチー」
- 性格:人懐っこい
- 食性:花の蜜・果実が大好き
- 行動:群れで行動、一夫一妻
混同される理由
- 「梅に鶯」という言葉の誤解
- 「うぐいす色」のイメージの混乱(うぐいす餅、うぐいす餡)
- 声と姿のギャップ(声はウグイス、見えるのはメジロ)
- 両方とも春の鳥という共通点
保護の重要性
- メジロもウグイスも法律で保護されている
- 無許可での捕獲・飼養は1年以下の懲役または100万円以下の罰金
- メジロは2012年4月から愛玩飼養が全面禁止
- 密猟・乱獲から野鳥を守ることが重要
- **「野の鳥は野に」**が基本の考え方
これからの楽しみ方
春になったら、ぜひウグイスとメジロを観察してみてください。
- 耳を澄ませて「ホーホケキョ」を聞く
- 目を凝らして梅の木のメジロを探す
- どちらも春の訪れを告げる、かけがえのない存在
この記事を読んだあなたは、もう二度とウグイスとメジロを間違えることはないでしょう。そして、春の野鳥観察が何倍も楽しくなるはずです。
野鳥は私たちの身近にいる、自然からの贈り物です。観察を楽しみながら、彼らが自由に生きられる環境を守っていきましょう。
さあ、次の春には、正しい知識を持って野鳥観察に出かけてみませんか?きっと新しい発見があるはずです。
参考文献・出典
- GardenStory「知ってる? 春を告げる野鳥、ウグイスとメジロの違い」
- OM SYSTEM「解説!鳥の鳴き声図鑑#009 ~徹底比較!メジロとウグイス~」
- 野鳥情報.com「ウグイスとメジロの違いと見分け方」
- キヤノンバードブランチプロジェクト「メジロ:ウグイス色で目が白い?」
- ネイチャーエンジニア「ウグイスとメジロの違いと見分け方」
- 福岡県庁「メジロを愛玩目的で捕獲することはできません!」
- 日本野鳥の会「鳥獣保護管理法 Q&A」
- 静岡県公式「野生メジロの愛玩飼養目的捕獲の禁止について」
- 環境省「愛玩飼養・鳥獣等の輸入規制」
- 日本野鳥の会「野鳥をペットとして飼うための捕獲許可が中止へ」
※この記事は、鳥獣保護管理法や野鳥保護に関する情報を含んでいます。最新の法律や規制については、環境省や都道府県の担当窓口にご確認ください。









